案外とやわらかい感触のする熱が、
肌のなめらかさを愛でてのこと、するするとすべってゆき、
ところどこで止まっては、ちりという浅い痛みをばらまいてゆく。
首条や胸元の鎖骨の縁、二の腕や下肢の内なぞ、
やわいところを狙っては、この身へ刻印を記してゆく御主であり。
ごつりと大きな手は片方が、背へと回されていて、
時折 体が敷布から浮き上がるほどに抱きすくめられると。
密着する肌と肌がなおの熱を呼び、
胸が締めつけられてのこと切ない吐息が洩れるのに。
次には剥がされるのが無性に怖くなり、
「…っ。」
こちらから延ばしたしゃにむな手で、
攫われぬよう、雄々しい肩へとすがりつけば。
深々とつながっていたところが思わずの力を込めたのらしく。
頭の上で、息を詰める気配がしたが、
「あ…っ。」
深いところに食い入っていた肉塊が、堅さを増してこちらをも苛む。
ぐいと押し込まれると、鋭い熱波が生まれ、
それが腹の下やら背条を目がけて駆け登って来ては、
こらえの利かない、はしたない声を上げさせる恥ずかしさ。
ほんのり汗ばんだ額や背中へ、細い後れ毛を張りつかせ、
時折走る鋭い悦の波に、
必死で耐えての唇を咬む女房を、双腕の中へと見下ろして。
“誰にも聞こえはせぬのに。”
実は防犯性を高めるためという主旨を隠しての“防音処置”のお陰様、
ちょっとやそっとの物音立てても、外へは漏れないその上に、
同居している高校生も、この数日ほどは不在だというに。
日頃の習慣が抜けぬのか、
微かにでも甘い声を、妖しい睦声を上げてはならぬと、
逃れ得ぬ悦苦の波が襲いくるのへ、懸命に耐えて。
苦衷の息つく健気な気配が、
却って…御主の嗜虐をくすぐっていようとは気づかぬ彼で。
勘兵衛の頼もしい肩へと頬をつけ、
せめて顔だけでも隠そうとする七郎次だったが。
至近へと寄り添ったその間合いから、
くっくっと息を詰めて耐える様が、甘い吐息や四肢を震わすわななきが、
直接届いて伝わることが、
まだまだ精悍精強な勘兵衛を、尚もと煽り立てているとは気づかずにいるらしく。
ゆさり、強めに揺すぶられ、
「あ…、く…ぅ…。///////」
強く走った淫靡な悦を、やり過ごそうとしてのこと。
ぎゅうとしがみついて来た腕だったのが、
離さないでと請うように思えたとしても、それは勘兵衛の側の非じゃあなかろう。
「…っ、あ、あぁっ、や…っ。////////」
主の膝が、脚が、内肢へますますと割り込んで来たその衝撃が、
組み敷かれていた七郎次の体内へも強い動きを伝え、
そこから発した じりと熱い刺激が、下肢をとろかす熱を生む。
既に一度、先に達したその箇所へ、相手の肌が触れるのが熱くてたまらぬ。
再び張り詰めている痛いほどの熱は、
そうなっているという事実自体が、七郎次へと羞恥を呼んでもおり。
声がしたわけじゃあない、お顔を見たわけじゃあないが、
勘兵衛がほのかに笑んでいるような気がし。
それがまた彼を、はしたない身だと自覚させ、苛んでもいるらしい。
ほんのかすかな触れ合いで、こうもたやすく欲情する自分が恥ずかしい。
そうなるようにと慣らされたのだと、気づくはずも無く、
ただただ自分が淫らでいかがわしいのだと思い込み、
せめて乱れぬように、それでもって気づいて下さるなと耐えることが、
ますますのこと、自身を追い込んでいることへも気づかぬ初々しさよ。
腰から背条、うなじを上り詰めんとしている淫熱は、
そのまま脳さえ焼こうとしている凶暴さ。
せわしなく吐き出す息で喉は嗄れ、
だのに、唇は赤々と濡れてつやを増し。
「…んっ、」
ひくりと撥ねた身を、宥めるようにと抱きすくめた勘兵衛へ、
やがては恍惚とした眼差しが潤みをたたえて向けられるまで。
今宵は一体どのくらいの合を越えねばならぬものだろか………。
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*いきなりですいません
しかもしかも、実は本題は次の章からです、悪しからず。
めるふぉvv *


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